Honeyed Lip
「美味しい〜!」
隣でケーキを頬張るアンジェリークを見て、ベルナールは優しく微笑む。
「君はホント美味しそうに食べるね」
「だって、本当に美味しいんですもの。ベルナールさんは食べないんですか?」
「僕はいいんだ」
君のために買って来たんだからね…と、ベルナールは軽くウインクをした。
アンジェリークの頬にほんのりと紅が差す。
甘いものに目が無いところは、昔と全く変わらない。
嬉しそうに頬張るアンジェリークを見ていると、疲れが吹き飛ぶようだ。
「…やっぱり、ベルナールさんも食べてください。
一人で食べているのは…なんだか悪いんですもの」
口の端にクリームがついている事に気づかず、
アンジェリークはベルナールの顔をじっと見上げる。
じゃあ…と、ベルナールはアンジェリークの口についているクリームを舐め取った。
「ごちそうさま」
満足そうに微笑むベルナールをよそに、
アンジェリークは驚きのあまり声が出ず硬直している。
段々と、その頬も紅潮していく。
驚いたその顔も、やはり可愛らしい。
「やっぱり甘いな。でも…」
ベルナールは顔を近づけると、そのままアンジェリークの桜色の唇にそっと口付けた。
「こっちの方が…甘くて美味しいね」
いつものように、ベルナールは優しく微笑む。
このまま食べてしまいたいくらいだよ。
耳元で囁くと、アンジェリークの唇にもう一度キスを落とした。
甘く、深く。
二人の、甘い時間 。
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